くじ引きのために知らないおばちゃんと「友達」になる嫁の話

2021/10/7

中国にお住まいのKOさんに僕の記事を引用していただきました。
ご自身の経験された中国人の奥様とのいろんなエピソードから、「ルール」というものに対する中国人の向き合い方のようなものを学んだというお話です。たくましく生活力のある奥様で何よりです。
これを読んで、僕もまた自分の中国人の嫁のたくましさ(というよりうちの場合は若干の図々しさを感じさせるものですが)を感じたエピソードを思い出したので、書いてみようと思います。
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嫁と一緒にランニング用のシューズを買いに、ANTA(安踏)というスポーツ用品メーカーのお店に行った時のことです。
一通りシューズを試し終わり、僕と嫁で一足ずつどの靴にするかを決めました。それらをレジに持って行こうとすると、店員から「あと200元お買い上げで、50インチのテレビモニターが当たるかもしれないクジが引けるようになるんですけど、どうしますか?」というお誘いが。よくあるキャンペーンです。
うーん、モニターは欲しいけどそのために200元ぶんも無理やり買い物をするのもなあ、と思ってスルーしようと思っていたその時、なんと嫁がその辺で買い物をしていたおばちゃんに声をかけて、何やら交渉を始めました。どうやら「あんたの買い物分をこっちに足して、クジが引けるようにしてくれないか」ということを言っているようです。
いやいや、さすがにダメだろ……と思って見ていたのですが、なんとおばちゃんは快諾したようで、僕らに自分の買い物を渡してきます。「友達でもないのにそれは……」と難色を示す店員に、「何言ってるの、私たち友達よ!」と強気に言い返す嫁、そしておばちゃん。おばちゃんにとっては特に利益がないはずなんだけど、なぜそんなに協力的なんでしょうか。
モヤモヤした表情のまま、しぶしぶ受け入れる店員。同じくモヤモヤしたまま自分たちの靴におばちゃんの分を上乗せして支払いを済ませる僕。おばちゃんの消費分の金額を、スマホを通して受け取る嫁。……あれ、僕がおばちゃんの会計分だけ丸損してるんじゃないか? という疑問を差し挟む間もなく、嫁は豪華賞品が当たるかもしれないくじを引きに行きました。
そして結果はなんと! ……中国ならどこでも20元くらいで売ってそうな水筒でした。つまりハズレです。嫁は残念そうにしていましたが、もし変に豪華なものが当たってしまったらおばちゃんと所有権をめぐって揉めるんじゃないかとヒヤヒヤしていた僕はむしろ安心しました。
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中国の人の臨機応変力というか、その場で思いついたことをすぐに実行に移す行動力であったり、自分に有利なように話を持っていくメンタルの強さみたいなものには、本当に驚かされることが多いです。僕は「そんなこといいのかな」と思ってしまったり、店員にどう思われるかを気にしてしまったりで同じことはどうしてもできないだろうと思います。
うちの嫁なんかはかなりおとなしいほうだと思うのですが、それでも僕みたいな小物がちょっとビビってしまうようなことを平然とやってのけるので、見習わないといけないなあと思います。ちなみに僕はしょっちゅう嫁に「臨機応変さが足りない」と叱られます。
なかなか自分の性格や規範意識を変えることは難しいですが、すごいとか羨ましいとか思ったところは少しずつでも素直に自分の中に取り入れられるように心がけておきたいな、と思う今日この頃です。
ちなみに例の水筒は今でもたまに使います。いちおう、嫁に感謝しておきたいと思います。

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